日本の通貨事情
通貨って何???
通貨(つうか)とは、流通貨幣の略称のことです。
普通、貨幣(狭義)とは中央銀行などが発行する現金通貨のみを指します。
通貨は現金通貨に加えて、銀行などに預けられている普通預金・当座預金(手形・小切手)などの流動性の高い預金通貨、流動性がやや落ちる定期預金や外貨預金などの準通貨を含んでいます。
現金通貨は、一般に「(お)金」(かね)と呼ばれます。
日本円はどうやって日本円となったか?
現在の日本の通貨単位である円 (えん) は、1871年に定められたものです。\記号(¥記号)も使用される。ISO 4217ではJPYと表記される。
ローマ字表記はYenと表記される(そのままEnと表記すると、特に欧米人から「アン」とか「イン」と発音されてしまうため)。
「円」の名前の由来として一説には、人々がお金を表すときに人差し指と親指で円を作ったところから、この名がついたという。
また、当時香港にあった硬貨に「香港壱圓」と刻印があったことから思いついたという説もあります。
なお、中国の通貨単位である「元」は「円」の正字「圓」の同音を当てたものであり、韓国・北朝鮮の「ウォン」も「円」の朝鮮語読みです。
補助単位としては、
銭…1円の100分の1(1円=100銭)
厘…1円の1000の1、1銭の10分の1(1円=1000厘、1銭=10厘)
が、存在するが1953年に法律によって、小額硬貨が整理された際に、事実上の使用・流通禁止処分が取られており、今日ではもはや観念上の単位でしかありません。
円を制定した経緯
明治政府は、1871年、貨幣の基本単位に円を用いることを決定しました。
このとき、純金1500mgを1円(すなわち金平価1500mg)とする 金本位制の導入が試みられ、20円、10円、5円、2円、1円の我が国初の洋式本位金貨が鋳造、発行されました。
この量目は、米国訪問中の伊藤博文が建言したものであり、当時の国際貨幣制度確立案として米国下院に提案中だった1ドル金貨の金純分と等しいものでした。
また、当時明治政府が鋳造し流通していた明治二分金(重量3g 金純分22.3%)2枚(=1両)の純金含有量に近似しており、新旧物価が1両=1円として連結し、物価体系の移行に難が少ないとして採用されました(なお、江戸幕府最後の二分金である万延二分金と明治二分金の純金含有量はほぼ同じです)。
日本円の変遷
明治時代からの流れです。
西洋文化文明摂取のための輸入激増や、西南戦争や日清戦争等による不換紙幣・銀行券の濫発、金流出等により、実際には金本位制は機能せず、事実上銀本位制のままでした。
これは当時発行されていた日本銀行券が、本位金貨が存在したのにもかかわらず。兌換銀券であったことでも頷けます。
その後、日清戦争の賠償金として受け取った金を兌換準備充当の正貨として、1897年に貨幣法が制定され、第2次金本位制度が確立し、ようやく紙幣の金兌換が実現しました。
ただし、1円の金平価は750mgと半減、しかも兌換準備充当正貨は英国に置いたままの在外正貨の形で運用された。
1871年から発行された最初の本位金貨は、この時から額面の2倍の通用力を有すこととなった。
一方新貨幣法による本位金貨は、20円、10円、5円のみとなり、1円金貨は発行されませんでした。
これらの本位金貨は、戦後も廃止されず、昭和62年6月1日に、官報で本位金貨の流通停止が告知されるまで、名目上は現行通貨でした。
この金兌換は1917年まで継続されたが、第一次世界大戦による金本位制停止で金輸出禁止、兌換も停止されました。
終戦後の混乱を経て、1930年に金の輸出を自由化して金本位制度を復活させる措置が取られたが、1931年12月には金輸出・金兌換が再び禁止となり、日本の金本位制は崩壊し、その後は管理通貨制度に移行しました。
第二次世界大戦以後のIMF体制(いわゆるブレトン・ウッズ体制)下では、米ドルを介した金為替本位制により、1円の金平価は2.4685mgとなりました。
この価格は、1ドルの金平価1/36トロイオンスを、 当時の対ドル円為替相場である1ドル=360円(円の角度が360度であることに由来すると言う説がある)で割って算出されたものです。
この対ドル固定相場制に基づく金為替本位制は、1971年のニクソン・ショックにより終結し、1973年には変動相場制に移行しました。
円の流通高
円の流通高は、2005年3月末現在において79兆1216億円です
このうち日本銀行が発行する紙幣が74兆6719億円、財務省が発行する硬貨が4兆4497億円となっています。
国の借金が751兆1065億円(2004年12月末現在)、民間資産の合計が1400兆円とも言われるが円の流通高は予想されたより小さく、その大半は金融機関(日本銀行を除く)等に保管されており、実際に市場に流通しているのは79兆1216億円の内、十分の一程度と思われます。
「円の通貨流通高」とは現金の総額、と捉えて差し支えありませんが、紙幣そのものは更に日本銀行の金庫内に保管されており(この状態では通貨ではなく印刷物として取り扱われます)、必要に応じて発行されます。